このコーナーは、松岡・森田両氏による「突撃面白人物インタビュー」を連載する予定。乞うご期待。



よしえ&千秋の

「この人に逢いたい」シリーズ  第一弾


ポレポレオフィス代表

織本知英子さん  を訪ねて



 「カンガ・マジック101」という本だった。それは、たちまち、近くにいた研究会のメンバーの興味をひき、話題の本となった。

 それと同時に“この本を出版した織本さんってどんな人?”“カンガ愛好研究学会って何?”“発行 ポレポレオフィス?”・・・。といくつもの疑問が浮かんできた。それならば、直接会って話を聞こうということになった。

 江東区にあるポレポレオフィスを訪ねた。“ポレポレ”とは、スワヒリ語で“ゆっくりゆっくり”という意昧。
カンガ・・・・・・「東アフリカの人達が身につけている衣服。素材はコットン100%。縦110センチ 横150センチの一枚布。全ての布の下にスワヒリ語でことわざが入っている。“離れていても心はひとつ”とか“苦あれば楽あり”等」
 「1991年に初めてアフリカのケ二アに行ったんです。その時に出会ったのがこの本。布と本に出会ったのが衝撃的でした。友達と二人で、ホテルの部屋で素っ裸になって、カンガのいろいろな巻き方をやってみたんです。」

 なるほど、この本を見ているとその気持ちがよくわかる。本を見ているより、やってみた方がぜんぜん楽しい。一枚の布でこれだけの使い方があるとは。本当にマジックという感じ!

「本当にやりたいことをしたい。」

 「本当にやりたいことが仕事になればいいなと思っていたんです。この本の日本語版を作りたいな、これをきっかけに、またアフリカにいけるといいなと・・・。」

 人間、誰でも願いや思いは持つものである。でも、それを実現させていくのが難しい。思いついても実行に移せないことの方が多いのでは?

 その辺のところを織本さんはこう語る。

 「自分のやりたいことをやれたらいいな、という気持ちの変化がちょうどあった時期なんでしょうね。その時に、衝撃的な本に出会った。今までは、頼まれた原稿を書いて締め切りまでに間に合わせて…、みたいな仕事をずっとしてきました。受け身だったんですよね。その中で見栄を張ったりつっぱったりしていた部分もあったように思えます。」

 「日本に帰ってからもこの本と布はずっと持ち歩いていました。自分の近くに必ず置いておいて、落ち込んだ時も見たりして。そして、1994年に版権を買いに行き、日本語版を出してからは、頭の中は、カンガのことばっかり。『本とカンガをどうやって売ろうか。』と半年くらい考えていました。置いてくれそうな本屋さんのリストを作ったり雑貨屋さんを探したり。一軒一軒、本を持って歩きました。本を売るのがこんなに大変だとは思わなかった。在庫の山を見て、『これをなんとかしなくちゃ。』と思ったこともあったけど、自分が創った仕事だから楽しかったですね。通販で扱ってもらったりデパートで企面展をやらせてもらったりもしました。」

 一つのことをずっと考え続けていったこと、それを実現させる為に行動したことで、“今の織本さん”があるのだろう。

 「日常的に忙しさにかまけていると、自分にとって衝撃的なものに出会っていてもそれに気づかずに、通り過ぎてしまうかもしれない。“これはおもしろそう”“やってみようかな”と思うことはたくさんあっても、いつの間にか忘れてしまっているということが多いのでは?それって、せっかくのチャンスを逃がしているってこと?」
 なかなか身につまされる言葉だ。

「自分の価値観で勝負する。」

 「私は、この本をおもしろいと思って出版したけど、世間の人はどうみてくれるかというのはわからない。今までは、織本知英子という一人の人間で勝負していなかったような気がします。〇〇会社の織本であったり、頼まれた仕事をする人だったり・・・。でも、カンガにこんなに惚れている自分に会って話を聞いてくれ、『今まで、こんな本なかったから置いてみたい。』という本屋さんに出会って・・・。」

 「よく考えると変なヤツですよね。こんな本3000部も作って一人で売って歩いているんだから。でも、周りの人も応援してくれるんですよ。自分なりに何かにこだわりをもっている人達が、自分の価値観で生きて社会に勝負できる、という部分を共有してくれるのでしょうね。」

「カンガとかかわっていることそのものが私の生きること」

 「カンガとかかわっていると素のままの自分でいられるんです。カンガが一杯あるとうれしくなるし、またアフリカに行けると思うとニヤニヤしてくるんです。」

 これだけ熱い思いを語ってくれているのに、気負った感じは全然無く“私はありのままの自分で生きているんだ。”ということを感じさせてくれるような人だった。

 “こんなふうに生きられたらいいなあ”という願いを込め、浅草寺にお参りした時、線香の煙を頭にかけるように、カメラマンと二人で、全身にその気をいただいたのであった。

織本さん企画の本
☆訳書
プチ・フレザンシリーズ
 「KANGA SAYING カンガの教え」
   「POLEOPOLE ボレポレ」
 「サリサリちゃんのOKIRAKU講座1 世界のことば」
 「カンガに魅せられて」
 
☆著書
  「カンガ・マジック101」



発行 アリアドネ企画

発売 三修社
発行 アリス館
発行 連合出版


発行 ポレポレオフィス
発売 連合出版

 

このページについてのお問い合わせは

 POLE POLE OFFICE(ポレポレ オフィス)
    
織本 知英子

  〒135-0045 東京都江東区古石場3―11―13―50C

   TEL FAX 03―3642―4016
   携帯電話 090―7183−7667
   E-mail   polepole-orimoto@mub.biglobe.ne.jp

インタビュー・文

 松岡 克恵(よしえ)
 公立幼稚園十数年のベテラン先生。アフリカンなドラムを夜通し演奏するかと思えば、セミプロ劇団のヒロインでもある。パワーと好奇心あふれるレディー。
 
写真

 森田 千秋(ちあき)
 一見するとムーミンのスナフキン・・・。よくみると、カンフームービーの悪漢のごとき怪しい風貌の、フリーカメラマン。やさしい、小さな瞳で、いい仕事をする。