「子どもと遊ぶ絵本の世界」

公立保育園保育士 原 久美

 私は本が好き。うんと小さいころから好き。本環境には恵まれていたと思う家に育ったので、自然と本の世界であそぶのが好きな子になった。

 こどもの頃に、物語の中の景色をイメージして、頭に思い浮かべながらその世界に浸っている自分をよく覚えている。もちろん今もそう。現実逃避感が強い人なのね。

 図書館や、お気に入りの本屋さんで、本棚の間を歩くときの幸福感。それは、私の心の支えだったりもする。『人生に必要な事は、すべて本から学んだ。』といっても過言ではないほどなのだ。

 こんな私か保母になった以上、絵本選びにはどうしても力がはいる。

 本来、本を読む(見る)行為ってすっごく個人的なことだと思う。だけと、「おもしろ−い!」っていう本にぶちあたると、つい『ねえ、ねえ、これおもしろいよ!』って薦めたくなるんだよね。とりわけ自分の好きな人にはね。

 それで、私の「これ好き!」っていう本が、子どもにも受けた時は“儲けもん!”。私、この年になっても(いくつ?)、気持ちの上では、結構子どもに近いところにいるらしい。だいたいあたるんだよ。

 しかし、また、『何で?これのどこがおもしろいわけ?わたしにはわからん。』という不思議さが新鮮な驚きで、子どもと絵本の世界をあそぶことは実に楽しい。

 そこで、保育園において私の知っているかぎり、『この本は、大うけしたよ−!』という絵本を紹介します。特に、ここ数年、小さいクラスを受け持つことが多くて、ちょっとばかしではありますが、その筋の本が詳しくなりましたので。

 まずは、『コロちゃんはどこ?』エリック・ヒル作、評論社より出ているしかけ絵本のシリーズの一冊です。

 このしかけというのに、こどもたちは実に弱い。ピラツとめくってみるだけなのに、見えないものが見えるというのは、とってもドキドキするらしい。

 しかも、この本のごはんも食べずに消えちゃったわが子を、母親が探しまわるというあやういストーリー展開が、1・2才児クラスのこどもたちの心をぐっとつかんでしまう。そして、そして、極めつけは、動物たちのセリフのおもしろさ。『いないぜ』『おらんぞ』とでてくると、ギャハハの大爆笑。『何でこのー言がそんなにおもしろいの?』って思うほどいけます。そして、『ああ、私はこの季節はすぎてしまったのねぇ。』と、つくづく思うのです。

 と、勝手に解説したけれど、あなたはどう思う? どうぞお試しあれ!